孤独なメッセンジャー。
レガシー。それは過去からのメッセージである。
レガシー。それは遺産である。
今なお、「私はここにいる」と発信し続けるモノは大阪の西淀川区に佇んでいる。
彼の名前は谷口マンション。昭和生まれの素朴な人柄をしている。
彼の風体はぼやけた白い壁、レトロチックなベランダ
そして足元にこれまたレトロなお店をたずさえている。
青、黄、赤の外見とはうらはらにビビッドな足元がおもしろい。
玄関に入り、階段を上がると、しん・・・・とした空気が流れている。
ほんのりとした日差しが差し込む中、ドアを開けると、そこにはリノベーションされた空間が広がる。
意外にも彼は流行りもの好きのようだ。
ピカピカのフローリングを抜けると、春の陽気をまとった、やわらかな風と光がマンションを訪れた人々を祝福してくれる。
風と光の歓迎祭から右に目をやるとそこには畳が敷き詰められた和室が。
リノベーションし、流行りを意識する彼も、やはり自分の中の原風景が必要なのだろう。
彼の体の大きさが外見だとするなら、部屋の広さは、心の広さ。
1人でも 2人でも 家族でさえ受け入れる寛容さが光る。
そして性格もきっちりしたものらしく、風呂・トイレ別、洗面台も置かれていて、整理整頓はお手の物。
昭和の彼らしく、キッチリとしていて、どこか古めかしい所と流行り好きなところが混じり合った、印象に残る人物(物件)だ。
オシャレで、目新しいものに目を奪われがちな我々だが、一度、立ち止まってみてほしい。
本当に住みやすいのか、自分のライフスタイルに適正なものなのか。
迷ったら、一度彼に相談してみるといいのかもしれない。
「私はあなたを迎え入れる」
過去からのメッセンジャーは優しく語りかけることだろう。
レガシー。それは語り継ぐもの。