おとり物件の見極め方とお宝物件がでる裏事情【最新版】

いやーおとり物件って難しいですね。当店でも不透明な不動産業界をぶっ潰すために「初期費用の公開」というものをしておりますが、マンションの管理会社が変更するたびに条件が変わるので修正業務が非常に大変です。

お客様からの問い合わせで気づくこともあるので、情報は常に正確にしなければならないと同業他社のおとり物件を見つけるたびに思うきょうこのごろです。

おとり物件を見極めるコツ（賃貸）

おとり物件を見極めるコツとして一番重要なのは、相場をきちんと調査することにあります。現在、ポータルサイト（スーモ・ホームズなど）を利用することによってかんたんに希望するエリアに存在する賃貸・売買物件の相場を確認することができます。

その中で異様に安い（家賃が半額など）物件を目にする事があると思いますが、それがまさにおとり物件です。

しかし、それは「おとり物件」ではなくて「お宝物件」である可能性も捨てきれないと思います。そのときに以下の情報を確認することによって９割以上の確率でおとり物件かどうか判断することができます。

不動産屋いらずです。

情報公開日を確認する

情報公開日とはポータルサイトに掲載する際に付与される物件情報の投稿日時です。周辺相場よりもかなり安い物件なのにもかかわらず情報公開日時から日数が立っている物件は、おとり物件の可能性が高いです。※サイトによって更新日だったり提供日だったり名称が違います。

相場よりもかなり割安な家賃で募集がかかっているのにもかかわらず、月間数百万人も利用しているサイト上に掲載されているお宝物件の募集が継続されていることに疑問が残ります。

あなたの理想のマンションの家賃が周辺の同じ間取り、同じ築年数、同じ設備のマンションよりも５０％OFFで掲載されていたらどう思いますか？すぐに電話して、その日のうちに契約を結びませんか？他の人もおそらく同じように思っているのに売れ残っている理由はなんでしょうか？本当は売って（貸して）すらないのかもしれません。

マンション名を確認する

まずマンション名の記載があるのかどうかを確認します。もしマンション名の記載がなかった場合、おとり広告の確率があがります。

貸主（大家さん）が物件名を伏せて募集してほしいという物件もあるのでこれだけで「おとり物件」かどうか判断するのは危険ですが、他の項目と合わせて確認することによって「おとり物件」の可能性があがります。

グーグルやヤフーなどの検索エンジンで検索する

たとえば「花沢ハイツ」の物件が周辺相場よりかなり割安で募集されているとします。その場合、そのポータルサイトだけを見て信用せずに複数のポータルサイトを確認する必要がでてきます。

検索窓に「花沢ハイツ　１LDK　」などと入れて検索すると違うポータルサイトの情報が出て来ることがあります。

その際に重要なのは、物件情報のお問い合わせ先として記載されている不動産会社が同じなのかどうかを見る必要があります。

同じ会社の場合、様々なポータルサイトに「おとり広告」をだしている可能性があるので、別の会社が情報をだしているか確認します。

複数の会社が割安な家賃で募集をかけていた場合、おめでとうございます。お宝物件の可能性がでてきたのですぐに不動産会社に連絡して見学の予約をしましょう。

実際に見学予約をしてみる

１から３までの方法を試して見てみたが実際にどうなのか判別できない場合、掲載元の不動産会社に電話をかけてみます。

その際に重要なのは「現地見学できますか？」と現地で集合して見学できるかを確認することにあります。

そもそも募集していない物件に関して、他の人が住んでいるわけですから見学できるわけがありません。

「一度ご来店いただかないと無理」「身分証の控えを取らないと無理」「実際に足を運んでもらうには事前に仮審査がいる」「リフォーム中なので無理」「ポータルサイトには即日入居可能と間違えて記載してしまったが実はまだ前の人が住んでいる」「当日に他の人が見学しているかもしれないから調整のために来店が必要」など様々な理由をつけて断ってくることがあります。そうなってくるとかなり高い確率で「おとり物件」の可能性がでてきます。

ただ、まれにそういったシステムを全物件で採用している店舗もありますが、身分証などの本人確認は現地マンションの前で行えば事足りることですし、控えなどが欲しければ最寄りのコンビニ集合にしてコピーを取ったり、今でしたらスマホで写真を取れば済む話なので、ぼくにはわかりません。

賃貸だけでなく一戸建て住宅でもあるのか

売買物件でもおとり物件は存在します。手法としていくつか存在するのでご紹介します。

架空の物件で募集している

そもそも募集されていない物件で資料を作成し募集している事案です。今時はそんなことをしたらすぐにバレてしまうので、やっている会社は少ないです。

実際に募集されている物件の価格を少しだけ下げて募集する

これは賃貸と同じ方法で、他社の周辺の物件よりも少しだけ値段を下げて募集する方法です。売買物件の場合、住所で物件募集をすることのほうが多いので（「港区台場2丁目 1LDK」）わかりづらいです。それに売買の場合、単価自体が高額なので１００万円や２００万円安いだけで、かなりの効果があります。専属専任物件の場合は後述する方法で簡単におとり広告が成立するのですが、一般媒介物件の場合、他社も広告を掲載していることがほとんどなので、外観の写真などでかんたんにバレてしまうためやっている会社は少ないです。

専属専任物件や知人から預かっている物件、自社の物件を当て馬に使うために実際に正規の募集資料として周辺相場よりも割安で作成し、集客目的に使うことがある

これを見抜くのは至難の技で、たとえばその不動産会社しか取り扱えない物件の正規募集価格を３０００万円とします。しかし周辺相場より５００万円ほど安いかった場合、当たり前ですがその物件に問い合わせが殺到します。ただ、実際には正規価格とはいっても売る気のない物件なので、来店集客目的にのみ使用し、実際に買えることはありません。ただ現地待ち合わせも可能ですし、実際に中を見ることもできるので見抜くのがほんとうに難しいです。

実際にやっているところは多いのか？

売買の場合、口コミでの集客が非常に重要なものになるので、おとり広告をあまりやっているところはないように感じます。お客様との信頼関係を崩してまで短期的な利益に走る会社は倒産寸前かな？と同業としても疑ってしまうので、業者同士の付き合いも希薄になり、物件の仕入れなどができなくなるなどデメリットのほうが多いです。

おとり物件の実例

電話やメールでおとり物件に関して問い合わせをすると来店をとにかく促されます。実際に来店すると

たったいま決まってしまった（ほかのひとが入居申し込みしてしまった）

急にリフォームがはじまった

大家さんが鍵を持って旅行にいってしまった

ここは定期借家なので３ヶ月しか住めない

分譲オーナーが家賃を上げてしまった

売り主が売りたくないと言い出した

などのおとり方法があります。本当にそうなっていることもある、というのがポイントで嘘かどうかを見抜くのは大変です。

なぜおとり物件を使った広告をするのか

そもそも不動産業界はポータルサイトでの集客か駅前の好立地を利用した集客に頼るしか集客方法がありません。そして大多数の不動産業者がポータルサイトに参加しているので、似たような物件が大量に掲載されています。その中で他の不動産業者よりも目立つには「おとり物件」を利用するしか方法がありません。

そもそもお宝物件というのは存在するのか

世の中にお宝物件というものは宝くじを当てる確率でしか存在しません。

なぜなら

お宝物件というのは相場よりもかなり割安な物件のことを言います。その物件の仕入れ先は自社で買い取った物か、大家さんから預かったものかの２種類です。

・自社で買い取った物件をわざわざ相場よりも安い賃料で募集する必要があるのでしょうか？なぜ利回りを下げてまで募集しなければならない物件を購入したのでしょうか。賃料を下げる必要性がみつかりません。それに購入時は周辺の物件相場を調査し「どれくらいの年数で投資金額を回収できるのか」というのをベースに検討します。かなり割安で募集をかけるということは営利企業として矛盾する行動なのです。

・大家さんから預かった物件の場合、大家さんの代わりに資産運用をするということになります。その場合、たとえば築年数、間取り、設備などが似通っている隣のマンションが１０万円で募集されているのに自分が管理を任されているマンションの家賃を５万円にしてしまうのは自殺行為です。管理をしている場合、家賃の数％を管理費として大家さんからもらうのに、その母数を減らしてしまうことになります。そもそも隣の似たマンションの半額で契約してしまうような資産管理会社には誰も資産を預けたいとは思わないので管理能力も疑われ、大家さん界隈からの評判を下げる結果につながります。

以上のことから、お宝物件というのはほとんど存在しないということになります。

実際にお宝物件がでている裏事情

一人で昔からやっているような不動産屋さんにお願いして、そこの社長さんがインターネットなどに対しての知識や相場を調べる手段がなく、昔の感覚で値付けした場合（そもそもそういった物件はインターネット上にも掲載されません。アットホームが唯一、インターネットができない不動産屋さんから物件情報をもらいネット上に代理で掲載する営業をかけていた気がします）

売買物件だと相続税や借金返済など、何かしらお金が必要になってきた兼ね合いから早期売買を希望している売り主さんで、相場がよくわかっていない不動産屋さんにお願いした物件が世の中にでてきてしまった場合

実際にありえるお宝物件は相場の10%引きぐらいです。１０万円が相場のマンションが９万円で募集されている場合、かなり格安なお宝物件になりますので即申し込みをすることをおすすめします。それ以上に安い物件はなかなか見つかりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。おとり物件が業界全体からなくなれば、お客さんもぼくたちも無駄な時間を消費する費用がなくなりますし、大家さんも管理をしている会社もみんなもっと努力をして「家」全体の価値を高める方向にシフトしていくと思います。

そういった時代になれば、ぼくたち仲介業者は必要なくなるのかもしれませんが、それはそれで健全な姿になるだけなのかもしれませんね。

売りたい人と買いたい人、貸したい人と借りたい人がシンプルに取引できるシステムが出来上がることを本当に願っています。

どっかのネット屋さんやってくれないかなー。

それでは！