『ガチャリ。』と小気味のいい音を立てて、視界に入って来るのは、雪の様に無垢な白い壁、ピカピカに光るタイル貼りの床。それは・・・
一人の旅人が大阪という荒野を歩いている。次の暮らし、癒しを求めるために。
幾つもの住居を見ては更なる高みを目指し、幾晩も思案を張り巡らせ、眠れぬ夜を過ごした。
いつこの旅に終止符が打たれるのか?答えがない旅に意味はあるのか?
旅人は疲れていた。見果てぬ大地の広さに。想像以上の住居の多さに。
『もういい。』
くたびれた旅人は、そこで横になって泥の様に眠った。澄み渡る夜空に点在する星々が彼を慰めるに瞬いていた。
心地よい朝の光がリバーコートに降り注ぐ。玄関前の淡い緑が光を反射させ、一層爽やかな朝を演出してる。大阪という喧騒の代名詞の中に旅人(あなた)は癒しを見つけた。
門をくぐり、石基調のフロントからエレベーターで上に昇る。シックな装いに胸を躍らせながら、廊下を歩いてドアの前に。少しだけ火照った手をドアノブにかける。
それはまるで、恋い焦がれた少女が想い人に逢うかの様な、情熱と期待を秘めた、純真無垢な想い。
答えを求める旅人の、ドアノブを握る手に力が入る。
『ガチャリ。』と小気味のいい音を立てて、視界に入って来るのは、雪の様に無垢な白い壁、ピカピカに光るタイル貼りの床。それはお城の中の様な静寂と高級かつクリアな印象を受ける。
その中にある薄茶色のクローゼットや紅に染まったキッチンがより一層味わい深い物にして、訪れた人の心を捉えて離さない。まさに『見えざる手』によって拘束されたかの様だ。
ある種の絶対領域。侵されることのない、あなただけの聖域。そう言って差し支えないだろう。
堅牢な作りから生まれる聖域は、旅人の生活の安定と癒しを約束する。
内装の良さのみに留まらず、日光の塩梅、収納、ベランダ、キッチン、お風呂、全てが高品質。快適それでいて洗練されたスタイリッシュなデザイン。
見えることなのない臣下を置いた旅人は、まさに一国一城の主になった。とうとう彼の旅に終止符が打たれたのだ。
『もういい。』
晴れ晴れしい笑顔とともに、ポツリと旅人は呟いた。
(ファンタジスタ森)